回転売買

銀行、証券会社にだまされるな。これは市民的日常生活の鉄則である。今また「コスモ証券 投信回転売買」(朝日新聞2009/12/09)というニュースがある。会社ぐるみでイカサマ商売をして、「不適切な勧誘で投資信託を頻繁に買い換えさせる「回転売買」を組織的にしていた」ということである。

銀行や証券会社の営業はすべて手数料稼ぎだけが目的である。このことを示す一例である。これらに対しては「押し売り」に対応するのと同じ心構えが必要になるという教訓でもある。


その手口

詐欺的方法で不当に手数料を稼ぐ手口は実に単純なものである。


(1)通常の買い方
A→    継続して保持     →A
 購入時にAの手数料と保有期間中の信託報酬がかかる。

(2)この事件の場合
A→解約してB→解約してC→解約してA
 購入時にAの手数料と保有期間中の信託報酬がかかる。
 購入時にBの手数料と保有期間中の信託報酬がかかる。
 購入時にCの手数料と保有期間中の信託報酬がかかる。
 購入時にAの手数料と保有期間中の信託報酬がかかる。

保有期間中の信託報酬はどれも同じだとすると、売り込むほうからみると、(2)の方が手数料は3回分余分に入ってくることになる。これで不当に巨額の手数料が稼げることになる。


詐欺師性

詐欺師化した株屋が狙うのは、もっともだましやすい層になるのは当然である。
営業職員が高齢の女性らに、手数料負担が重く投資利益も期待しにくい、短期間での投信の買い替えを勧める」。
要するに、だましやすいおばあちゃんばかりを狙っているということである。やっていることは詐欺師と紙一重である。「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」などと大して変らないレベルである。


無能でも勤まる稼業

詐欺に必要なものは口先だけである(笑)。
一人の職員が同じ日に、株式市場の見通しについて顧客により正反対の説明をしていた
銀行や証券会社などの営業職員にまともに経済情勢の分析ができる者はいない。無能だが口先だけは達者という連中ばかりである。
彼らの言うことはすべて売り込みのために会社の営業マニュアルに書かれたことのオウム返しである。そうでなければご都合主義的なデマカセであるといってもよい。たとえば、次のようなパターンになる。


株式市場はこれから好転する、これから上がる、といって株式投信を買わせる。
株式市場はこれから低迷する、これから下がる、といって株式投信を売らせる。そして別のものを買わせる。

経済情勢や市場がどちらにころぼうと、手数料稼ぎには都合よく利用できるのである。結局、自分が扱っている商品である株が上がろうが下がろうが、債券市場が上がろうが下がろうが、そんなことは銀行や証券会社の手数料稼ぎの営業にはどうでもいいわけである。

要するに、「買わせる」ことだけが目的なのである。これはもう「売り込み詐欺」だといってもだろう。こちらの対策も抜かりなくやっておく必要があるようである。


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銀行の株屋化(ts4_0003)


年金資産の消失と株屋

投資顧問などという商売の胡散臭さがよく表れている事件である。こういう連中のほとんどは資産運用の技術・技能はない。実際は詐欺師に近いものである。しかし、そんなものでも会社としてやっていればプロだ(安心だ)と思い込むのが世間の一般人の通例である。この庶民の「思い込み」をたくみに利用してこういう詐欺師集団が生き延びてきたともいえる。

解約時にファンド付け替え AIJ資産消失問題
AIJ投資顧問(東京)の年金資産消失問題で、顧客の企業年金が解約を申し出た際、顧客の資産を運用するファンド(金融商品)を、別の企業年金にうその利回り分を上乗せした価格で購入させて資金繰りをしていたことが12日、証券取引等監視委員会の検査で分かった。少なくとも数年前から、こうした顧客間でのファンド付け替えの手口で解約資金を確保する“自転車操業”をしていたという。
- 共同通信2012/03/12 -
報道によれば、資産運用開始当時からすでに損失を出していたというからひどいものである。「ファンド」とはいうものの、資産の裏付けのあるものではなく、書類上だけで作られた無価値なものだった。

そんなゴミのようなものを「別の企業年金にうその利回り分を上乗せした価格」で売っていたという。価値のない張りぼての資産、帳簿上の数字だけの運用資金が積み上がっていたということになる。そして、フタを開けてみたら、中身はカラッポだったというわけである。

こういうヤカラに共通していることは、いわゆる「天下り」役人をフルに活用して詐欺をしているということである。能もないのに「元」公務員だったという肩書きを使えば世間を信用させることができる。そういう悪知恵だけは持っているということである。逆にいえば、日本人がそのDNAとして持っている官尊民卑の性癖(お上のなさることをありがたがる)をこういう詐欺師に巧みにつかれたということでもある。

ところで、このAIJ投資顧問の詐欺師社長については、

AIJ社長「運用は素人」の評 営業力で急成長
浅川社長は1994年、熊本支店長を最後に証券最大手の野村証券を退社。その後、外資系や中堅の証券会社を渡り歩いた。浅川社長を知る証券関係者は「資金運用は素人だった」と口をそろえる一方で、証券マン時代から営業の腕については定評があったという。
- 朝日新聞2012/03/23 -
このオトコ、証券ヤクザのボス格である野村チンピラ証券でしっかり詐欺師の修練を積んでいたということである。そうならばこんな事件も「さもありなん」ということになる。

社長と側近の重役はそういう内情を知った上で、それをひた隠しにして自分たちだけは年間合わせて数億円の報酬をとっていたという。いい気なものである。詐欺で集めた金で楽しいマネーゲームにうち興じ、そのうえ高額のギャラまでとれるとは。詐欺などやりはじめたらやめられないだろう。

この期に及んでもまだ「いつか『当たる』と思ってやっていた。もう100億円あれば、なんとか巻き返せたのに」などと話しているという(読売新聞2012/03/24)。これは競馬で負け続けてスッカラカンになった男の言い分と同じである。人様の大切なお金を預かって運用しているという意識はまったくないのである。


この事件ではAIJの運用資金の一部に公的資金に属する部分(厚生年金の代行部分)があったから社会的にも大きく取り上げられたが、これが純粋に私的な資金ばかりであったなら、自己責任を楯にとられて、運用を委託した側からは何の文句も言えないところである。
個人相手の勧誘営業などはこの手口ですべて逃げ切っている。詐欺師には実にありがたい「仕組み」である。株屋のヤクザ体質は永久に続くようになっているのである。


運用資産の消失

今度は、アメリカの「MRIインターナショナル1)」という資産運用会社が日本国内で集めた約1300億円の資産が消えるという事件が発覚した(2013年4月)。2011年以降は、カネだけ集めて何の運用もしていなかった。監督官庁には虚偽の報告書を出していたというから、もう詐欺である。AIJ投資顧問による厚生年金消失事件もあったし、この種の会社のインチキさがまた露呈したようである。

1) 同社が扱う金融商品「MARS」は年6.0〜8.5%の高利回りで、低金利が続く日本国内だけで投資を募っていた。
この商品は、国民皆保険の日本と違って、アメリカでは病院は患者が入る民間保険会社に診療報酬を請求する。その際、請求書式が保険会社ごとに異なり、しかも保険会社が大小数万もあって煩雑なことから、報酬の回収率は3割程度にとどまる。そこで病院から診療報酬の請求権を安く買い取り、保険会社から額面通りに回収することで利益をあげ、投資した顧客に配当を支払うという。

欲の皮の張った人間ほどだましやすいものはないということの例であると同時に、おいしい話には要注意ということの教訓でもある。しかし、こんな事件は過去何度も起こっているのに、欲にかられるとついつい乗ってしまうという人間の弱さをたくみについた商法である。これも永久になくなることはないだろう。


会社ぐるみのヤクザ体質

エイチ・エス証券に制裁金8千万円 新規公開株抽選不正」(朝日新聞2010/06/16)という記事がある。インチキやイカサマ賭博はヤクザのお家芸である。しかし、証券会社もヤクザと同程度のようである。なまじ、まともな「会社ふう」を装っている分だけ悪質でタチが悪いといえる。

日本証券業協会では新規公開株式は抽選などによって公平に顧客に割り当てるよう協会規則で定めている。しかし、エイチ・エス証券は2002〜07年、割り当てたい顧客が必ず当選するように抽選器を細工していたという。また、新規公開株式を割り当てた顧客から利益の一部を還元させていた。
- 朝日新聞2010/06/16 -
常連客に便宜を図る目的であるとはいえ、そこから自社に利益を還流させている点から見て、会社ぐるみでインチキ三昧であったことは明白である。「証券会社、信用するべからず」である。


ヤクザ体質は永久に不滅

インチキの総本山にも変化かと思わせるニュースである。「株運用担当2人を解雇へ 旧中央三井アセットの不正取引」(朝日新聞2012/06/07)、「野村が機関投資家営業部長を異動、インサイダー調査に全面協力で」(朝日新聞2012/06/01)。インサイダー取引などの違法行為三昧で金儲けに励んでいた旧中央三井アセット信託銀行(現三井住友信託銀行)と野村証券にも、多少は自浄作用もどきのことが行なわれたようである。

しかし、これも世間の目をあざむくためのポーズであろう。ほとぼりが冷めたらまたぞろ「インチキの虫」が這い出てきてこっそり暴利を貪るのは目に見えている。過去に野村證券がどんなインチキを重ねてきたか。そのたびに再発防止と称する「言い訳」くり返しながら、それでも懲りずにいまだにインチキ三昧である。これでおさまるなどと考えるのがもう甘いだろう。野村チンピラ証券、日興サギ証券、大和イカサマ証券、など株屋のヤクザ体質は永久に不滅である。

この直後にも、野村チンピラ証券についてはこんなニュースが報道されている。またか、ヤクザ集団。やはり世間の目をあざむくためのポーズだったようである。

野村証券から三たび情報漏れ 監視委、米証券に初の勧告
東京電力が2010年に実施した公募増資に関する情報を事前に得てインサイダー取引をしたとして、証券取引等監視委員会は8日、米国のファースト・ニューヨーク証券に対して金融商品取引法違反の疑いで1468万円の課徴金納付命令を出すよう、金融庁に勧告した。監視委が、海外の金融機関について課徴金を勧告するのは初めて。
東電の増資の主幹事を務めた野村証券は同日、社員が情報を漏らしていたことを認めた。野村証券は、同様の課徴金勧告を2度受けた旧中央三井アセット信託銀行(現三井住友信託銀行)にも情報を伝えていたことが判明している。野村証券による情報漏れは3度目となり、経営責任が問われそうだ。
- 朝日新聞2012/06/09 -
この野村チンピラ証券は、最近でも東京証券取引所の市場構成の見直しでも情報漏えい事件を起こしている。「野村総研フェローが情報漏れに関与 政府、人事案を撤回」(朝日新聞2019/03/28)。こんな会社に順法を説くなどは百年河清を待つようなものであろう。

日興サギ証券についても詐欺師の面目躍如である。ニュースのネタに事欠かないほどインチキ三昧である。

TOB会議直後に通話記録 日興元役員、知人へ漏洩か
インサイダー取引容疑で逮捕された日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)の元執行役員・吉岡宏芳容疑者(50)が、株式公開買い付け(TOB)などに関する会議を同証券内部で行った直後に、知人の金融会社社長・加藤次成容疑者(66)に電話をかけた記録が複数あることが、関係者の話で分かった。 加藤容疑者は電話を受けた直後に、株の購入を繰り返していたという。
- 朝日新聞2012/06/26 -

また、大和イカサマ証券についてもヤクザ並みのインチキ三昧である。

大和もインサイダー関与 監視委調査 3大証券で発覚
日本板硝子の公募増資をめぐるインサイダー取引に、大和証券グループが関与していたことが29日、分かった。野村証券、SMBC日興証券を含め、国内3大証券すべてがインサイダー問題に関わっていたことになる。
- 朝日新聞2012/06/29 -
証券市場を私物化し、私利私欲に走って金儲けに励む。どうしようもない詐欺師会社ぞろいの業界である。しかも、これらは「表」に出てきた「大ネタ」だけである。表に出てこないような「小ネタ」で「小金(こがね)」を稼ぐなどのインチキはもうやりたい放題であろう。


増資公表日に取引急増相次ぐ インサイダー取引常態化か
2009年以降に公募増資した東証1部上場企業で、増資公表日に株式取引が急増した例が相次いでいたことが25日、東京証券取引所の調べで分かった。取引量が普段の5倍以上に膨らんだ例もあり、東証はインサイダー取引が常態化していた疑いもあるとみて、証券取引等監視委員会などと実態解明を進める。
証券会社が取引先に増資情報を漏らすインサイダー取引問題を受け、増資公表日の売買高が直前1カ月の平均に比べてどれだけ増加したかを、東証が調べた。09年7月に増資した全日本空輸株は10・6倍(増加率は966・5%)に達するなど、21社の株式で取引高が2〜10倍程度に増えていた。
- 共同通信2012/07/25 -



銀行、証券会社、保険会社には、合法的に顧客をごまかすテクニックが多数用意されていることに注意しよう(笑)。




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