●嫉妬心 
人を非難することにいたってはいたって熱心で、人をほめることとなるときわめて熱意のないのが、人間の嫉妬心というものである。
- マキアヴェリ「政略論」(中央公論社「世界の名著16 マキアヴェリ」)165p -
●マキアベリズムのその後 
国家を「階級支配の道具」と規定し、「階級の廃絶」によって国家悪の問題がすべて解消すると説いたのはマルクス主義であったが、そのマルクス主義を現実の政治に移したと称した「社会主義」国家ソ連邦が、実はもっとも強烈な国家主義を発揮し、それゆえにスターリン、フルシチョフ、ブレジネフなどの人物を通じて「マキアヴェリズム」を一歩も出ていないことを暴露したのである。現在展開されているソ連のチェコスロヴァキアに対する無慈悲な権力政治は、その端的な表現であるといわなければならない。そしてしばらく前までは「社会主義の兄弟国」としての連帯を誇ったソ連と中共が、今や不倶戴天の敵としていがみあっているというように、政治の現実は「国家」にまつわる運命がいかに深刻なものであるかを物語っている。
- 林健太郎「マイネッケの生涯と思想」(中央公論社「世界の名著54 マイネッケ」36p) -
●国家理性 
国家理性とは、国家行動の基本原則、国家の運動法則である。それは、政治家に、国家を健全に力強く維持するためにかれがなさねばならぬことを告げる。また、国家は一つの有機的組織体であり、しかもその有機体の充実した力は、なんらかの方法でさらに発展することができるばあいにのみ維持されるがゆえに、国家理性は、この発展の進路と目標をも指示する。
- マイネッケ「近代史における国家理性の理念」(中央公論社「世界の名著54 マイネッケ」49p) -
●象徴主義 
象徴主義は、因果論の立場からこれをみるならば、いわば思考の短絡現象をみせている。事物間の関連をさぐるに、相互間に隠されている因果関係の回り道をたどらず、とつぜん飛躍して、その関連をみいだすのだ。しかも、それは、原因と結果の関連ではない、意味と目的の関連である。
- ホイジンガ「中世の秋」376〜377p(「盛りを過ぎた象徴主義」の章) -
●人民と権力 
人民は、特に権力を握ることに関心はない。誰によるものであろうと、権力の実際の行使にしか本質的な関心は抱いていない。
- コント「実証精神論」(中央公論社「世界の名著36 コント スペンサー」)219p -
●感情と理論 
感情に訴えての結合は近いところにしか通じないが、理論化された世界像は遠くのものを結合させる力をもつ。
- マンハイム「イデオロギーとユートピア」(中央公論社「世界の名著56 マンハイム オルテガ」)241p -
●満足の文化 
満足の文化は、長期的な問題を無視する傾向がある。
- J.K.ガルブレイス「満足の文化」(新潮社)111p -
●個人と集団 
各人は、これをひとりひとりとしてみれば、かなり利巧で分別があるが、いっしょになると、たちまち愚か者となる。
ジンメル「社会学の根本問題」(社会思想社)62pでシラーの言葉として引用されている。
●年寄り 
年寄りは、悪い手本を示すことができなくなった腹いせに、良い教訓を垂れたがる。
- ラ・ロシュフコー/二宮フサ訳「ラ・ロシュフコー箴言集」(岩波文庫)36p -
●金持ちになる方法 
わずかな財産をもっている人の食物に粗悪品を混入するのは、今日盛んに用いられる富を得る方法である。
- ラスキン「この最後の者にも」(中央公論社「世界の名著41 ラスキン モリス」98p) -
●誤謬 
ほんとうに、誤謬のなかにいるということは、まったく非ソクラテスなことにも、人々がいちばん恐れない事柄なのである。
- キルケゴール「死にいたる病」(中央公論社「世界の名著40 キルケゴール」)474p -
●特権意識 
ろくでなしほど特権意識をもちたがる。
- 真継伸彦「三島ロマンチシズムの自己崩壊」(朝日ジャーナル1970年12月13日号) -
●夢想 
貧しき者、淋しき者の慰安は夢想である。現実に於いて與へられざる事物と雖も之を夢裡に経験するは各人の可憐なる自由である。
- 阿部次郎「三太郎の日記」(角川書店「日本近代文学体系 第35巻 阿部次郎 和辻哲郎 集」80p) -
●大胆 
無学は大胆である。一直線に所信を語ることが出来る。
- 木下尚江「懺悔」」(角川書店「日本近代文学体系 第20巻 木下尚江集」378p) -
●枯渇 
金銀は枯渇するが、徳性、忍耐力、気力、清貧は枯渇することを知らない。
- モンテスキュー「ローマ盛衰原因論」(中央公論社「世界の名著 28 モンテスキュー」246p) -
●熱狂と狂信 
法悦にひたり、幻影をいだき、夢を現実と思いこみ、自己の空想を予告と信じる人は熱狂者である。自己の狂気を殺戮によって推し進める人は狂信者である。
- ヴォルテール「哲学辞典」(中央公論社「世界の名著 29 ヴォルテール ディドロ ダランベール」287p) -
●フランス革命 
大政略家ロベスピエールは、革命では、敵がときとして味方以上に役に立つことを知っていた。味方は理屈を言い、検討し、議論する。敵は、恐怖にかられたときは、ずっと正しく歩むものだ。鉄のレールの上におかれて、まっすぐ進むほかはない。右も左も深淵だと知っているので、その歩みはまっとうになるのだ。
- ミシュレ「フランス革命史」(中央公論社「世界の名著 37 ミシュレ」381p) -
「第八巻 独裁への道」の「三 独裁政府の成立」
●西洋と東洋 
無限のなかに分け入ろうとすれば、
有限のなかをあらゆる方向に歩けばいい。
- 大山定一訳「ゲーテ詩集」(小沢書店)178p「西東詩集」-
●婚姻権と性的共同態 
性的共同態とは、或る人間が他の人間の性殖器および性的能力についてなす相互的な使用であって、それは自然的な使用(これによって同人と類似のものが産出される)であるか、あるいは不自然な使用であるかのいずれかであり、そして後者は、同性の人格に対して行なわれるか、あるいは人類以外の動物に対して行なわれるかのいずれかである。
- カント「人倫の形而上学」(中央公論社「世界の名著32」408p) -
●俗信と社会制度 
俗信は、たとへて見れば一本の葦である。折れた葦である。けれども、尚よく多くの哀れな足腰のたたぬ兄弟たちの、たどたどしい歩みを支へ助けている。この杖なしには、忽ち躓いて転んでしまふ。
- フレーザー「サイキス・タスク」(岩波文庫)206p -
●戦争肯定論 
これは風の運動が海を腐敗から防ぐのと同様である。持続的な凪は海を腐敗させるであろうが、永久平和はいうまでもなく、持続的な平和でさえも諸国民を腐敗させるであろう。
- ヘーゲル「法の哲学」(中央公論社「世界の名著35」582〜583p) -
●川島法社会学の問題性 
川島武宜の法社会学の問題点は、近代法と前近代法(封建法)とを対比するという図式的な思考が基本にあることである。これは「日本社会の家族的構成」などに顕著にみられる。
近代法は西欧の市民社会をモデルとしている。それは絶対主義権力に対して自由を獲得し、経済的自律に基礎づけられた自律的な個人のアトミスティックな集積を前提としている。
すなわち、川島法社会学は、近代と前近代の断絶を強調し、自律的アトミスティックな個人の集合体である市民社会に向かうことが歴史の発展過程であるとするのである。