株価純資産倍率(PBR)

PBRはPrice Book Value Ratioの省略形。株価純資産倍率(PBR)とは、株価を1株当たりの純資産で割ったものをいう1)。PBR=(株価)÷(1株当たりの純資産)である。株価が1株当たりの純資産の何倍まで買われているかを示す指標である。

会社の総資産から総負債を引いたものを純資産という(自己資本/資本金+法定準備金+利益剰余金)。この純資産が株主のものとして評価できる財産である。これを発行済株式数で割ったものが1株当たりの純資産である。1株当たりの純資産は株式のストック価値を基準にしたものであり、会社の解散価値2)でもあるといわれる。
NOTES
1) PBR=(株価)÷(1株当たりの純資産)
={(1株当たりの利益)÷(1株当たりの純資産)}×{(株価)÷(1株当たりの純資産)}
=自己資本利益率×PER
自己資本利益率は企業の収益力を表し、PER(株価収益率)は企業の成長力(成長期待)を表すから、PBRはこの2つの相関関係によって規定されることになる。
2) 実際に会社が解散する場合に1株当たりの純資産額にあたる金額が株主の手に入ることはない。 固定資産などが帳簿に記載された金額で売却できることはほとんどないし、売掛金なども全額が回収できることもない。また、業績悪化による解散の場合は累積した赤字があるだけでなく、帳簿外の隠れた債務があることが多い。実際には、1株当たりの純資産額はマイナスになっているのが通常である。

Q&A
125.31.114.18 [09/Mar/2014:14:14:59] PBR 1 倒産しても 損しない
126.214.102.208 [03/Jun/2012:09:37:35] 倒産 株価純資産倍率 損しない
こんなオメデタイ発想はしないほうがいい。倒産したらすべては烏有に帰すだろう。


有用性

  1. PBRが低い会社は会社買収の対象として注目される。
    含み資産が多ければなおさらである。最近は、投資ファンドが阪神電鉄などの含み資産の多い会社の株式を取得することが多いが、これを格好の投資対象と見ているからにほかならない。

  2. 通常の会社の場合は、PBRは株価の下値のメドになる。
    相場や株価が暴落するとき、その会社の株価が1株当たりの純資産に近づくあたり(PBR=1)で下げ止まることが多い。
    参考
    証券取引法違反で社長以下数名が逮捕されたライブドアの株価は、強制捜査以来連日ストップ安をつけていた。
    2006/01/24においても、売り注文が殺到しストップ安の176円の売り気配のままで取引を終えた。ライブドアの1株純資産は約184円である。これが理論的な下限であるから、買い注文も出てきやすい。この日の売り注文は2億5000万株超、買い注文は700万株であった。ちなみに、前日までは売り2億株超に対し、買い15~30万株程度であった。
    しかし、この会社には粉飾決算疑惑もある。その時は上場廃止になる。そうなれば市場価値は0に近づくから、さらなる下値を更新する可能性もある。また、事業内容にもよるが、この価格を下回ると別の会社が買収してくることも予想される。たとえゴミでも買って損はしないレベルだからである。


問題点

  1. 会社の解散価値をもとにして会社の成長価値ともいうべき株価を評価するのは本末転倒である。

  2. 含み資産の大きい会社にとっては帳簿上の純資産を評価の基準にすることは、その会社の現在の資産価値を正当に評価したものとはいえない。これを基にしたPBRは株価や投資の尺度としては無意味である。

  3. この指標によって株価の上限のメドをはかることはできない。


バリュー型投資

PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)が低い銘柄に投資することをバリュー(Value/価値)型投資という。これは利益・資産など企業のファンダメンタルズに対して株価が割安な銘柄、または配当利回りが高い銘柄を選別して投資することになる。

Q&A
124.96.166.84 [09/Jun/2009:19:19:59] 純資産がマイナスのとき株価は?
赤字であろうが純資産がマイナスであろうが、株価がマイナスになることはない。そんなことには無関係になにがしかの値段がつく。0円にもならない。株価の最低は1円である。

「純資産うんぬん」は現実の「会社」の状態だが、我々が売り買いしているのは現実の「会社」ではなくて、抽象的な「株式」という証券なのである。形式的には両者は別個のものである。もっとも、そんな会社は通常は倒産予備軍程度にしか思われないから二束三文程度の価格である。