買い増し概算金の計算方法

単元未満株の買増制度を採用する企業がふえてきた。会社も合併や分割、離合集散が常態化してきたから、単元未満株が生じるのは不可避である。

ところで、買増請求する場合に手数料を含めた買増概算金を先に渡しておかなければならない。この買増概算金は、概算だから適当でもいいわけだが、一応はその計算方法が決まっているようである。


金額が確定しない買増概算金

以下の規定は中央三井信託銀行の例である。この方法ではいくら提供すればよいのか、その金額が確定しない。そんな買増概算金を提供せよという、珍しくマヌケな計算方法である。

メモ
「買増概算金」は下記の式で計算する。
買増概算金 = 買増請求の効力発生日の前営業日の東京証券取引所での終値×買増請求株数×1.3

「買増請求の効力発生日」とは下記の日である。
買増請求の効力発生日 = 買増請求書と概算金が事務取扱場所に到着した日

この方法では、買増概算金が、買増請求書が到着した日の前日の価格を基準にして、その払うべきその買増概算金を決めるという。まるで手品である。

今から概算金を送ろうとする者には、「買増請求書が到着した日」などはわからない。そして、その前日の株価も当然わからない。結局は、いくら金額を渡せばいいのかがわからないのである。

これでは買増概算金の金額が確定しないことは誰がみても明白である。不可能を強制する計算方法である。いわばエクセルでいうところの「循環参照」に陥って、警告またはエラーメッセージが出るレベルである。

そんな額の定まらない買増概算金に、もっともらしく1.3倍してある。これは手数料と申し込み日と買い増し日の間での株価の上昇分を見越したものである。多めにとって後で清算して返却するということなのだろうが、基本になる買増概算金が確定しないのではどうしようもない。


金額が確定する買増概算金

ちなみに、最近きた日立製作所の買い増し請求の買増概算金は次のようになっている。

メモ
買増概算金 = 買増請求書提出日の前営業日の東京証券取引所における当社株式の終値×買増株数×1.3

要するに、「請求する日の前日の株価×買増株数×1.3」に相当する金額とともに申し込めばよいことになる。

なお、この書き方は圧倒的に多くの会社でとられている方法である(当然)。

- 2004/07/04 -





単元未満株の処分の方法/買取請求と買増請求(ts1_0022)