笑える大学産業の実態

文部科学省所管の社団法人である私立大学情報教育協会の調査によると、「教員の60%強(理学系では74.8%)が学生の基礎学力が不足」しているという。近いうちにやってくる大学全入時代にそなえて、「入学後の学生に高校段階までの学力を身につけさせる方法を、大学側が真剣に検討しなければならない」という(読売新聞2005/07/21)。

大学に入って「高校段階までの学力を身につけさせる」とは、なんともバカバカしい話である。このような、大学と呼ぶに値しないものを「大学」と呼ぶのは詐称ではないか(笑)。しかし、これは「高校段階までの学力」のないものを入れないという当然のことをすれば簡単に解決してしまう問題である。

ところが、大学商売としては、実際にお客さんがきてくれないと困る。それが最優先されてしまう。そこで、「大学」という名前信仰にとらわれた低学力高校生をかき集めることになる。そのため、大学と呼ぶに値しない「大学」では先のような嘆きが出てくる。

しかし、これは自業自得というものであろう。実際にも、私立大学の顧客(入学者)争奪戦はすさまじい。早い私立大学なら、6月頃から来年用の学生確保のための、入学願書・推薦入試用の校長に書いてもらう推薦書まで入った書類一式を個別にダイレクトメールで送っている。そして、その返送用の封筒で送り返したら(形式上は入学願書だが)もう実質的に合格したような扱いになる。

そして入試の主流も学力などは考慮しない推薦入試である。また客観的基準のない無試験入試も多い。これを大学側では「有能な人材の早期確保」というきれいな言葉で呼ぶが、これを額面どおりに受け取る者は誰もいない。

顧客(入学者)の絶対量が少ないのだから、学力なんかなくてもいい。頭の中身がカラッポでも小学生以下でもいい。サルでもネコでも、金さえ払ってくれれば何でもいい。とにかく入学者を集めることが最重要になる。教育的観点とはおよそかけ離れた、なりふり構わぬ方法でかき集めた結果がこのザマである。大学みずからが低学力大学生粗製乱造システムを作っておきながら、それでまともな学力をもった人間が集まると思っているほうが甘いのではないか。もう自業自得といってもいいだろう。

この問題は、「大学名入り卒業証書」販売業者のような商店系大学が淘汰されて、人口数に見合った適正規模の大学数になるのを待つしか解決策はないのかもしれない。心配せずともいずれ近いうちにそういう時代はくるだろう(笑)。

- 2005/07/22 -