移住するなら北海道

移住するなら北海道、なかば決まり文句ふうに言われることが多くなった。折りしも、2006年度の北海道への移住者ベスト10が出ていた(朝日新聞2007/11/13)。それによると、(1)函館市、(2)弟子屈町、(3)当別町/浦河町/八雲町、(6)東川町、(7)黒松内町、(8)長万部町/室蘭市、(10)小樽市、というランキングになるようである。

もっとも、移住者の絶対数は多くない。トップの函館でも25人で、10位の小樽では8人である。全体では273人。人口は国の力または地域の力の基礎であるから、どうしても自治体としては移住者の誘致に力を入れることになる。その「移住サービス」には、移住者には土地をタダでプレゼントするなどというのもある。その誘致合戦の過熱ぶりもすさまじいようである。

しかし、北海道の広さからみれば、移住者の数はまだまだ少ないようである。やはりネックは冬の厳しさと社会資本の整備の度合いだろう。北海道に地球温暖化の「恩恵」が回ってくるのはまだかなり先のようである。

また、いくら風光明媚なところでも弱小自治体で夕張のように財政破綻してしまうとそのシワ寄せも厳しい。移住する側からみれば、「おいしい」エサをぶらさげられても今一歩踏み込むことができないのが実際のところなのであろう。

さらに、「移住サービス」の対象が定年でリタイアした者だけというのは自治体側の視点1)に偏したもので、長い目でみれば人口増につながるかは疑問である。むしろ人口は増加しないだろう。しかし、それでも誘致せざるをえないというのが過疎に悩む自治体の最大の問題なのであろう。
NOTES
1) かれらはある程度の金を持っていて年金などもあるから移住地域に就職先がなくても呼び込める。人が増えれば住民税も増え、国からの交付金も増える。そして地域内での消費も増える。自治体には都合のいいことばかりである。

- 2007/11/13 -