限りなく詐欺に近い巧妙な商売

なんでもかんでも値上げの秋になったようである。そうなると「値下げ」という言葉にすぐに飛びついてしまうのが庶民にしみついたDNAである(笑)。

近くにあるイオン系のスーパーに行ってみる。入り口にドーンと「値下げ」の商品コーナーが設けてあった。
「期間限定で98円→88円」と表示してある。98円のものが88円となっているというのである。
【商品A】

そして中に入ってブラブラ見てみる。同じような商品で98円の値段が付いている。
【商品B】

上の2つのパッケージのデザインはやや異なるが、実質的には同じものであろう。そうなると、入り口の「値下げ」とここの「これ」はどんな関係にあるのか。それが気になってよく見てみた。なるほど巧妙な商法である。いやもうこれは詐欺といったほうがいい。

「値下げ」したと称して派手にアピールしている商品Aは「35g」のパッケージで、これが「88円」である。
通常の商品Bは「40g」のパッケージで「98円」である。
この両者を電卓で10g当たりの単価に換算すると、商品Aは25.14円、商品Bは24.5円である。

「値下げ」したとして値段の安さを強調している商品が実際は通常品よりも高い。決して「値下げ」にはなっていないのである。これをインチキ、イカサマ、詐欺といわずして一体何であろう。4個100円のものを3個90円にしたから「値下げ」だといっているのと同じである。安さをアピールしているが実際はその逆に高い。まさに消費者をだます「巧妙な」手口である。外見の価格だけでなく内容もよくチェックする習慣をつけておく必要性を痛感する。

ところで、この巧妙な詐欺的商法の真の狙いはなにか。過去この種のパターンを何度となく経験しているところからいえば、それはひそかに値上げするためのお膳立てのためである。これは大手スーパーの常套手段でもある(特にPB商品に顕著)。

今は通常品Bが40gで98円である。期間限定で「値下げ」したと称する商品Aの期間が過ぎたとき、今までの通常品の商品Bを撤去し、商品Aを「値下げ」前の価格だと称する「98円」に戻す。
そうなると、結果的に、「35g」で「98円」の商品Aだけが残り、実質的な値上げが完了するというわけである1)
NOTES
1) この1週間の期間限定の値下げのためにわざわざこんな新しいパッケージを作ったものではないということを考えれば、商品Aを次期の製品にするための事前準備であることは明白である。

このようにして、煙に巻くような目くらまし的方法でスムーズに値上げができる。パッケージが変わったときは、値段は同じでも内容は減っているか、または価格が値上げされているのが普通である。そういえば、このスーパーで買ったもので今までとパッケージが変わったものがあった。以前のものと値段は同じだから見過ごしていたが内容量は5g減っていた(これで1%強の値上げ)。やはり、この経験則は今でも通用する(笑)。

ところで、大手スーパーのイオンは「価格凍結宣言」と称して「イオンは年内、トップバリューの商品を値上げしません。」と公言しているが、これはまったくのウソ・インチキである。量を減らすことによって実質的な値上げはもうすでにちゃっかりやっているのである。そして来年になれば、晴れて今度は減らした量の商品の「価格」だけをまた値上げするというわけである。実質的に二重の値上げができることになる。さすが、大企業はしたたかである。百戦錬磨のダマシのテクニックの面目躍如である。

もっとも、いきなりストレートにズバリ値段だけを上げるのも困るが、それにしても、憂鬱な値上げの秋である。

- 2013/10/04 -



さて、後日このスーパーに立ち寄ってみたところ、やはり「35g 98円」の製品ばかりになっていた。コッソリと実質的な値上げが完了したわけである。