NEWS BOXこういう場合への対応ならば今の自衛隊で十分のはずである。それを「軍隊」「戦力」として認めてやれという主張なのかもしれない。
私は国家に戦力は不可欠だと思う。「戦力の保持」を明記してほしい。世界から紛争はなくなっておらず、いつ日本が戦争に巻き込まれるか分からないからだ。
- 朝日新聞2015/05/02(投書) -
NEWS BOXこういうものを読むと、子どもたちが憲法というものを身近に感じるのは戦争というものを通してであることがわかってくる。このパターンの「言い方」を、ここでは「子ども憲法論」としておこう。
日本国憲法について、もちろん、学校の授業では教わりました。(中略)。憲法の話をすると、「じゃあ、どこどこが攻めてきたらどうなるの?」なんて話になってしまう。
- 朝日新聞2015/05/03 -
確かにそれだけを見て、弱い日本人が襲われようとしているときに、助けなくていいのかと問われれば、助けないといけないと誰でも思うだろう。けれども、他の事例もそうだが、安倍総理が挙げる具体例の特徴は、襲われる部分を切り出してくるだけで、それがどういう状況で、どのような経緯で、そういう事態になっていくのかという、前提条件が省かれていることだ。結局戦争が起きるにはそれなりに理由があるわけで、どうしてそういうことが起きるのか、日本政府の対応方針は何か、その中で米軍艦で輸送することに優先順位があるのか、襲われる危険があってもあえて輸送するのか、といったことを考えてみないと、その事例自体の有効性は立証できないはずだ。要するに、ある一面だけを切り出してきて、「さあどうだ」という印象操作をするのである。これは保守の論調の常套手段でもある。たとえば高市早苗議員のような無責任政治業者(2013-05-19)など、いろいろな場面で使われる。
- 柳澤協二「現実を無視した危険な火遊び」(奥平康弘 山口二郎編「集団的自衛権の何が問題か 解釈改憲批判」(岩波書店)51~52p) -
NEWS BOXこういう例を出して、各自が拳銃やピストルなどの武器をもつべきだという主張に結び付くならともかく、この例からすぐに「他人」が外国で、「鍵」が武器、戦力に結び付いてしまうのである。ここでも決して現代の複雑な国際情勢に即応した現実的な状況が設定され検討されることはないのである。
他人が家に勝手に入ろうとしたときに、どうぞどうぞと入れるか、という話。ちゃんと鍵は閉めなくてはいけない。
- 東京新聞2015/04/14 -
NEWS BOX保守政権が仮想敵国とする中国にしても、その広大な国土の各所に配備された多数のミサイルが日本に照準を合わせている。いざ、コトが起こった場合、それらがいっせいに飛んできた場合にミサイル防衛システムでその全部を迎撃することは難しい(ほとんど不可能である)。これはロシアにおいても事情は同じである。
ミサイルの撃墜が実際の局面で本当に可能なのか。実戦では、迎撃実験でのように相手の発射を事前に把握し、あらかじめ弾着場所付近に待機するのは難しい。
推進派は技術向上で命中率が格段に高まったと強調する。しかし弾道の高さや角度によっては今も技術的に極めて困難なはずである。
しかも本気で狙うなら発射が1、2発で済むはずがない。ひとたびミサイル発射の局面に至れば、攻撃対象は、幸運にも数発は避けられたとしても、いずれ火の海になるのは避けられないのだ。だとすれば配備は軍産複合体の利益のためとしか思えない。
NEWS BOX
離島を攻める場合、敵は拠点地として周りの海のどこでも任意に選ぶことができる。離島からすれば敵は360度どの方向か分からず、距離も近場から遠くまでどこでもあり得るのだ。照準が無限に存在するのだから、実戦なら離島の「防衛」はまず不可能である。
だとすれば真の意味で離島を防衛するなら、相手国との対立を非軍事的に、平和的に解決するしかないのだ。
NEWS BOXそんな効果のない軍備をして喜ぶものはだれか。オトナたちの素朴な「子ども憲法論」の裏では、政治、軍事、産業界の巨大な利権がうごめいているのである。
着上陸訓練もミサイル防衛も、実際に島を守るためには役立たないのなら、配備はしょせん陸上自衛隊の組織防衛のためでしかない。そのような既得権益の組織存続・拡大のために、他国との対立をあおり、沖縄を危険な戦争ゲームの場所にするのは許されない。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。これが愚民党、いや失礼、自民党の憲法改正案では次のようになっている。
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
(表現の自由)安全保障問題はもちろん国論を二分するような重要問題が「公益及び公の秩序を害する」とされて、言論の自由が規制される危険が出てくる。そして、結果的には政府の主張だけが「表現の自由」として保護されることになる。政府にとって邪魔な意見を「こらしめる」ために、すべて「公益及び公の秩序を害する」として圧殺することができる。愚民党、いや失礼、自民党がそれを狙っていることは明白である。まさに戦前回帰である。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。
2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。
3 検閲は、してはならない。通信の秘密は、侵してはならない。