沖縄の次はどこ

原発から出てくる「核のゴミ」問題。下品に言えば「トイレのないマンション」問題である。こんな反対など政府はまったく気にもかけていないだろう。
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核ごみ、21道府県が事実上拒否 最終処分地選定の難しさ浮き彫り
原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定をめぐり、13府県が候補地に選ばれても一切受け入れる考えがないことが28日、共同通信の調査で分かった。8道県も受け入れに否定的で、全体の半数近い21道府県が事実上拒否の姿勢を示した。
- 共同通信2015/11/29 -
これも沖縄の米軍基地移転問題と同じパターンになるだろう。原発推進は政府・自民党の方針である。いずれどこかの土地が強権的に「ゴミ捨て場」にされるだろう。基地の多い沖縄に基地を置け。これと同じ論理で、放射能汚染でケチがついた福島は「汚染慣れ」しているので手頃だ。しかもそんな事故があってもまだ原発支持が圧倒的多数派だから問題はない。政府としてはそんな目論見であろう。

憲法の地方自治の建て前を無視した手口で沖縄の辺野古近隣の住民に直接カネをばらまいたように、「ゴミ捨て場」化に県や市などが反対しても、その自治体を通さずに直接その近隣住民の「町内会」にカネを渡せばすむことである。そんな悪知恵をまた使うだろう。相手は農民根性がしみついたカネに汚い日本人のことだから、政府はカネさえばらまけばコトは簡単にすむと見越していることだろう。少なくとも沖縄より政治意識は低いから抵抗もないだろう。

それにしても、この政権ほど憲法を守らない政権はない1)。権力が憲法を破壊するという「甘い蜜」を味わったからである。いわゆる「蟻の一穴から堤も崩れる2)」である。これと同じ手口がこれからも各所で使われるだろう。国民の権利も自由も、いかようにも内閣の一存で変えられることになる(独裁政治に等しい)。 立憲主義のタガがはずれた権力は野に放たれた虎と同じである。
NOTES
1) 今の憲法を守らない自民党が憲法改正をたくらむのは、その改正案は権力側だけに都合がいい内容のものだからである。
2) これは韓非子の「千丈之堤、以螻蟻之穴潰、百尺之室、以突隙之烟焚」に由来する。千丈の堤は螻蟻(ろうぎ)の穴をもって潰(つい)え、百尺の室は突隙(とつげき)の烟(けむり)をもって焚(や)く。
「螻蟻」は「オケラとアリ」、「百尺之室」は「百尺もある高い家」、「突隙」は「かまどの小さな隙間」のこと。「堤」は本来は「こざとへん」に「是」だがSJISでは表示できない。

- 2015/11/29 -



やはりゴミ置き場は福島になったか。カネさえやれば話は簡単に運ぶだろう。
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福島県知事、最終処分受け入れ 第1原発の指定廃棄物
東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の指定廃棄物を、同県富岡町の既存の最終処分場で処理する国の計画をめぐり、内堀雅雄知事は4日、福島市で丸川珠代環境相と会談し、計画を受け入れると伝えた。指定廃棄物の処分場の受け入れは全国で初めて。
指定廃棄物は12都県で計約16万6千トンあり、政府は発生した各都県で処分する方針。宮城など5県では処分場を新設する計画だが、地元の反発は強く難航している。
- 共同通信2015/12/04 -
福島県(民)は政府と取引してカネを取る知恵は抜群に発達していることは原発誘致時からわかっていたことである。これで西日本のゴミ置き場も福井県に決まったようなものである。ここも原発をネタにカネを取ることにかけては福島以上の才覚があるところである。もちろん、福島も福井も原発反対の人はいるだろうが、いかんせん少数派である。
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「TPP推進」にJA系反発 10府県、自民推薦せず
特に東北六県で、自民党候補を推薦したのは「原発事故からの復興のため、政権与党とのつながりを考慮した」という福島県農政連だけ。
- 東京新聞2016/06/27 -
福島県民は原発には賛成だし、農家はTPPにも賛成である。さすが政府・自民党から「カネを取る知恵」だけは発達している。