選挙と学生

選挙に行ったことがない学生たちがいかに大声を張り上げたところで権力は微動だにしない1)。諸君が他のサル並みの国民と同じく、早く忘れてしまうのをほくそえみながら待っていることであろう。そして、そんな経験をしても選挙に行く学生はほとんどいないだろう。そういう若い者の軽薄さとバカさを年寄り政治業者はちゃんと計算に入れている。そんな悪知恵だけは人の何倍ももっているのである。

どんな嘘インチキの公約をしてでも2)、選挙で勝ったものが「民意」だとする者には、たとえそれが白紙委任的に強引にこじつけた「民意」であったとしても、それには選挙で対抗するしか方法はない。これからはせいぜい選挙に行ってそういう連中には投票しないようにすることである。権力側にとっては民意は「選挙の勝ち」しか意味していないからである。
NOTES
1) これは70年安保闘争のときにもそんなことが言われた記憶がある(中島誠編著「全学連」)。
2) 前は経済優先国会だと称して抜き打ち的に特定秘密保護法を強行採決した。今度はアベノミクス解散だと言っておきながら安保法案の強行採決である。ゼニカネのことしか眼中にない日本の愚国民たちのウラを見事にかいた裏口入学的な手口ばかりである。

それにしても、この安保法案は実際には今の年寄りにはほとんど影響はないだろう。老人たちの先は長くないからである。しかし、今の若い者、これから日本社会に生まれ出てくる者には重大な影響を及ぼすことは確実である。権力(内閣)が憲法を破壊するという「甘い蜜」を味わったからである。以後、これと同じ手口が各所で使われるだろう。国民の権利も自由も、いかようにも内閣の一存で変えられることになる(独裁政治に等しいほどである)。

立憲主義のタガがはずれた権力は野に放たれた虎と同じである。戦前の治安維持法に匹敵する特定秘密保護法、憲法の平和主義を骨抜きにした安保法案、国権の最高機関である国会よりも内閣を上に置く各種の法案、古い道徳や軍国主義的思想の復活など枚挙にいとまがない。この極右政権によって多くの憲法的規範や価値は破壊された。暴政が吹き荒れる新たな「戦前」の始まりである。孔子は、政治の害は虎よりもきびしいとして、「苛政は虎よりも猛なり」(礼記)と述べたという。そんなことを危惧する。

しかし、ナチスの手口をマネして憲法を破壊し、戦前回帰をめざす安倍軍事オタク独裁政権。それを終息させることができるのは、最大の被害者であり、かつ当事者であるキミたち若い人の「民意」である。忘れずに是非とも選挙には行くようにしようね。カネに汚い老人たちにまかせていてはダメだ。

- 2015/09/17 -