銀行屋はだましのテクニックが豊富

今どきこんなことを言っているとは、銀行屋は本当にのんきな商売である。もう遅すぎる話であろう。六日の菖蒲、十日の菊である。
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三井住友銀「回転売買、評価しません」
三井住友銀行は、個人客にどれだけの金融商品を売るかの数値目標を今年度から撤廃した。(中略)。支店長らが行員に課した「ノルマ」も事実上なくなることになる。
今後は顧客の持つ金融資産をどれだけ増やせたかなど、運用資産残高の増減で評価する。
- 朝日新聞2019/04/24 -
逆に言えば、今まで何十年間もの長きにわたって「回転売買」で荒稼ぎしてきたということである。この銀行商売の悪辣さ(銀行の株屋化)については今まで何度か書いたことがある。この業界の「だまし」のテクニックの種類は豊富である。こういう方針転換ふうの心構えを大きく打ち上げて、その実は単に世間を欺くためのポーズの一つにすぎないものであろう。

かつて、「メガバンクの幹部が「手数料収入ばかりに目がいっていた」と述べている(朝日新聞2009/06/24)。商売をするのにあたって顧客のことなどは何も考えてはいない」という話が出てから、もう10年もたつ。その間、そんな反省の言葉だけは出すが、実際には何も改善されなかった業界である。もう、口八丁で庶民をだまして「食い物」にする。楽してカネ儲けに励む体質が根っからしみついているのである。

顧客の持つ金融資産をどれだけ増やせたか」とは、なるほど言うことだけは立派である。しかし、資本主義の牙城ともいうべき銀行が個人の顧客本位などとは、もう笑わせる話である。今まで真逆のことばかりやってきた業界である。実際にそんなことができる能力のある銀行員などはいないはずである。今までバカの一つ覚えのように「売り込め詐欺」に近いようなことしかしてこなかった無能チンピラ行員である。急にそんなことができるはずがない。彼らが投信の運用をしているわけではない(実際は投信会社のヒラ社員が運用)。それは銀行側が一番よく知っていることだろう。それを見越した「成果主義」で社員の賃下げの大義名分に使う方策であろう。

と同時に、本気でそんなことをしようなどという気はないことは容易に想像がつく。「顧客の持つ金融資産」が増えたところで、銀行側には何の利益ももたらさないからである。逆に、減ったところで当然銀行には何の損害もない ― 今まで銀行屋がやってきたことである ― 。とちらにしても、単に取り次いで手数料を取っているだけの銀行には何の意味もない。そんな無意味なことをドライな銀行屋(員)がするなどと考えること自体がもうオメデタイといえるだろう1)
NOTES
1) これは競馬などの予想屋商売と同じである。本当に1着になる馬がわかっていれば、予想屋商売などせずに自分で馬券を買っているほうがはるかに儲かるはずである。そして、この場合でも、本当にそんなことができるなら、銀行の歩合などをアテにせずに自分でやるほうがはるかに掴めるカネは大きいはずである。

ついでに、これで投信の売り込みが減るだろうと思うのは甘いだろう。まして超低金利(準無金利)時代である。現実には、無意味な投信を売りまくらなければ手数料収入が得られないからである。となると、このニュースは単に「表」の顔はきれいにしておこうとCM効果をねらっただけで、「裏」は旧態依然のはずである。

ちなみに、この銀行へは過去何度も「投信の売り込み勧誘の電話をかけてくるな」と言っているのに、相変わらず勧誘の電話はやめない。担当者が変わった(だからそんな話は知らない)というだけである。それでこの銀行からの電話には出ないようにしていたら、今度は発信元の電話番号をコロコロと変えて(たぶん個人の携帯電話)、相変わらず「売り込み」の電話をかけてくる。そんな末端社員の実態を知ってか知らずか、派手な打ち上げ花火をあげて号令だけかける上の方はいい気なものである。信用はできない。せいぜい銀行は「カネ置き場」程度に利用するのがだまされなくて(損害を受けなくて)いいだろう。

- 2019/04/27 -



マスコミ向けのイメージアップを狙っただけのPRはよくやるが、実際は違うだろうと思われる。
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銀行業界で、営業現場へのノルマ設定を見直す動きがようやく広がり始めた。過剰なノルマは現場に深刻な弊害をもたらしている。しかし、まだ多くの銀行が、相変わらず現実離れしたノルマを現場に課すスタイルを続けている
現場からは「本部が一方的に与えるノルマを、支店長はなぜ押し返すことができないのか」という若手行員の声が聞かれる。不満を口にする銀行員に、課せられているノルマについて尋ねると、そのほとんどは現実離れした内容なのだ。
- 毎日新聞2019/05/08 -
実態はこんなところだろう。トップが表だけは「きれいごと」を並べる体質はどこも同じである。

最近次のようなアンケートがきた。
参考
 「お客さまアンケート」のお願い
※※銀行では、よりご満足いただける銀行を目指して、運用商品をお持ちのお客さまを対象にアフターフォロー等に関するお客さまの声をお伺いしております。
この鉄面皮なアンケートにはあきれた。「アフターフォロー」など今まで一切なかった。それについて「どうか」と聞かれても答えようがない。この銀行からコンタクトがあったのは投信の売り込みばかりである。いかに銀行の上層部が末端の社員のやっていることやその実態を把握していないかがよくわかる。