大晦日は行く年来る年の境目である。久しぶりに近くの本屋をブラブラする。文庫本でももう気軽に買えないほど値段が高くなっているのに改めて驚く。本以外に情報伝達の媒体が多数ある時代となっては、本は売れない、発行数が減る、その分だけ定価が上がるという構図なのであろう。ポケットに150円ほどあれば何か文庫本や新書が買えた時代がなつかしい。そういえば、国会図書館が所蔵の本を全部インターネットで読めるようにするという計画はどうなったのだろうか。これが整備さればインターネット上の情報の大半は無用の長物と化すほどの画期的なものだが、その後はどうなっているのか気になる。もっとも、政府のやることは大半が尻切れトンボの立ち消えというパターンが多いのだが(笑)。

本に限らず新聞などの紙媒体も事情は同様のようで、ネット時代にいかに「紙」を買わせるかに腐心しているようである。聞けば、新聞を1年間購読してもらうには1万円の商品券を渡すのが最低限の「サービス」になっているという。今やインターネットで全国の各紙が無料で読める時代だから、それをもらっても紙を買おうという気にはならない。粗大ゴミになるだけである。しかし、インターネットなどやらないお年寄りなどには受けているらしい。知り合いのお年寄りは、契約更新にきた新聞販売員に、他社の「サービス」はこれこれだというと、3万円分の商品券をくれたので1年間契約したと豪語していた(笑)。こういう人たちの間ではそういうものの情報交換ネットワークがあるらしい。「紙」を売るのも買うのも大変なようである。
- 2008/12/31 -


年代

いろいろ年末である。ここになって急に冬の風が吹きまくるようになったようである。この時期恒例の歌番組の××大賞のテレビを見ていると、過去にはやった歌があちこちに出てくる。こういう歌をきくとどういうわけがある種の「なつかしさ」を感じてしまう。ところで、その時に出てくる年代の表示が「1982年(昭和57年)」などになっているのに気がつく。「昭和」「平成」とを経験すると、「昭和」での表示が今から何年前かが直感的にわからないのが極めて不便である。こういうことに配慮して両方を表示しているのであろう。

「昭和」しか経験しなかった小中学の時代は西暦は数字が大きくなって面倒なだけだと思っていたが、今では逆に西暦の方がはるかに便利であると感じることの方が多い(私見)。しかし、日本の伝統的慣例である一世一元制もすでに法制化のお墨付きをえた(元号法)。公用文書やそれに類したもの(銀行などの払戻書)は元号表記が原則になっている。こういう書類に一般人が書き込むときに、年代に○印をつける場合に「明治、大正、昭和、平成」の選択肢はあるが「西暦」の選択肢はない。この選択肢もぜひ追加するべきであろう。
- 2008/12/30 -


カニ

日本人はカニが好きである。これが嫌いだという人にはいまだかって1人しか会ったことがない。そして、これを食べだすとそれに熱中して座が急に静かになるという「至福の時」をもたらす特性を持っている食べ物でもある(笑)。

ところで、食べられるカニは6000種類以上あるといわれているが、ケガニ(北海道)とズワイガニ(北陸山陰の日本海側)はそのトップクラスに位置するものであろう。ケガニは肉質がやわらかくて甘みも強い。カニみそも多い。そのうえ甲羅が薄くて身が取りやすい。実にたのしい時を過ごせるのがこれである。貴重なものを送ってくださってありがとうございます、Fさん。
- 2008/12/29 -




本年度最後の掉尾を飾る競馬の有馬記念。1着は1番人気で予想通りだったが、2着が最低人気(14番人気)の馬だった。この差に驚く。1着以外は事前の予想はみなはずれていたということになる。すべからく物事はやってみなければわからないということであろう。そのせいで単勝の払い戻しは低いが、それ以外は高額の払い戻しになったようである。この世界も今年を象徴する漢字の「変」で締めくくられたようである(笑)。
- 2008/12/28 -


インク

少し前に大掃除したときに賞味期限が15年前になっていた新品のコショウが一瓶出てきたことがある。開けてみたら昨日買ってきたもののように使えたのには驚いた。保存食品恐るべし(笑)。ところで、賞味期限または消費期限は食べ物だけではないようである。だいぶ前にプリンタのインクを買い、溜め込んでおいたものが数個ある。新品の封を切って使ってみるがウンともスンとも反応しない。インクの残量をはじめカートリッジ情報も表示されない。インクが入っていた箱をみると推奨使用期限が2006年8月となっている。完全に賞味期限切れである。逆算するとこれを買ったのは2005年頃ということになる。保存がきくと思っていた工業製品だが、こういう消耗品は違うようである。意外にデリケートなものである。先のコショウのような保存食品ほども長持ちしないようである。それはともかく、あまり使う予定のないインクの買い溜めしないことである。
- 2008/12/27 -


氷下魚

成瀬宇平ほか「一度は食べたい地魚、旬と産地」に移動
- 2008/12/26 -


エコ

このあたりのスーパーでは11月からレジ袋は原則廃止になっている。中小のスーパーではレジ袋はどうするか(有料でよいか)と聞かれることもあるが、大手の場合は問答無用でレジ袋はない。今日は急に必要なものがあって近くの某大手スーパーが中核になっているショッピングモールに行く。最近はエコブームでリサイクル品も多数出回っている。目的のメーカー品は品切れだったが、代用のリサイクル品が半額以下の値段で置いてあったのでそれを買う。レジの時になって買い物袋を持ってこなかったことにハタと気がつく。しかし、ちゃんと以前と同じレジ袋に入れて渡してくれた。レシートを見るとレジ袋代も別に取られていない。どうやら、レジ袋の廃止は食品を中心に扱っているスーパーマーケット部門だけのようである。レジ袋の廃止は環境に対する配慮という効果もあるが、それ以上にスーパー側の経費と手間との節減になっているという面のほうが大きいようである。
- 2008/12/25 -


打ち上げ花火

ゆうやけ新聞「英語と英会話」に移動
- 2008/12/23 -


赤字

日米ともに自動車関係のニュースで連日もちきりである。日本ではトヨタが来期(2009年3月)に赤字に陥るという。確かに今の円高では輸出企業は全滅だろう。その影響は深刻である。しかし、ここは日本一の金満企業である。今までの利益はたっぷり溜め込んであるはずだから実際の影響は大したことはないだろう1)。また、自動車に対する需要も数年で復活するという見方が大半である。最近の金融危機に便乗して、やたら危機感をあおり立てているきらいがないでもない。

それにしても、円高で景気のいいところもあるはずだが、この方はほとんどニュースには出てこないのは、沈滞ムードに水を差してはいけないというマスコミの自主規制によるものだろうか(笑)。ほのぼのとして、ほんのり暖かいニュースがないのが歳末の寒さをいっそう寒くしているようである。

1) 共同通信の「巨額余資ため込み大量人員削減 自動車など大手16社集計」という記事(2008/12/23)によれば、大量の人員削減を進めるトヨタ自動車やキヤノンなど大手製造業16社で2008年9月末の内部留保合計額が約33兆6000億円に達し、過去の好景気による利益を企業内部に蓄積している。それにもかかわらず、各社は財務基盤の強化を優先し人員削減を中心とするリストラをおこない、2008年4月以降の人員削減合計数は約4万人に上るという。
- 2008/12/22 -


歳時記/暖冬か

まだ冬に入ったばかりだが今のところ感じとしては暖冬である。寒い、冷たいと感じる日がまだ少ないからである。「寒い」というのは大気の温度をいい、「冷たい」はもっと即物的な感覚、たとえば物が冷えきっていて触れると指先が痛いような感触をいう。寒さは少し感じても冷たさはあまり感じない。
手で顔を撫(な)づれば鼻の冷たさよ  (虚子)
こういう経験はこの冬は幸いにしてまだない(笑)。
- 2008/12/21 -


空焚き

城山三郎さんは、表現の自由を常に擁護し、戦争には常に反対する硬骨漢で「ブレ」ないところが好きな作家のひとりである。その晩年の手帳が見つかったというニュース(朝日新聞2008/12/18)。その中に「老化か、ヘマ続発。要注意。ヤカンの空焚(からだ)き。切符入れずに改札通ろうとする」などがあるという。ヤカンではないが、ガラス製の「ビーカー」のようなものでコーヒー用の湯を沸かすときに「空焚き」はよく経験する(笑)。金属製のヤカンは割れないが、ガラスではその時にあわてて急に水をいれるとパリンと割れてしまう。空焚きで何個も割った経験から、火を切って常温でゆっくり放置して冷やすと再利用可能になることがわかってから、空焚きに対してもかなり冷静に対応できるようになった(笑)。しかし、これは枝葉末節のことにすぎない。本当の問題は、火の始末を忘れていることのほうにある。これが「要注意」である。
- 2008/12/18 -


冬眠

ふと通りかかった道路の角にあるガソリンスタンド。1リットル108円の表示が目に入る。直近で入れたときは159円だったのも今は昔である。原油安傾向に加えて、日米の政策金利が逆転してしまったことがドル売りをさそい円高につながったことも大きい。おかげで、世間は危機感一色である。だれの言葉だったか忘れたが、「どの時代の人もみんな危機だ危機だと騒がれた時代をかいくぐって生きてきた」というのがある。嵐が通り過ぎるのを待つ知恵があるのではないかということらしい。人間もクマのように冬眠ができればいちばんいいのだが(笑)。
- 2008/12/17 -


抽象的

競輪や競艇などはやらないので詳しいことはわからないが、いわき平競輪で出走した9人全員が失格になったという珍しい事件があった。コースをはずれた先頭走者が失格になるのはわかるが、他の者は先頭との差がありすぎて「やる気がない」と判定されたようである。形式的には「勝利に全力を尽くす」という競技規則違反ということのようである。しかし、この規則は抽象的でその内容が不確定である。どんな場合にでも理由に使える便利なものであるから濫用することはできないだろう。これがもし競馬だったら、いかに先頭から引き離されていても、そう簡単には適用されないだろう。競馬は人と馬の共同作業であるため、人間に向けられた「勝利に全力を尽くす」という規範は馬には通用しない。文字通り馬耳東風のものでしかないからである。こうしてみると、競馬はギャンブルの中では意外に複雑なものなのかもしれない。
- 2008/12/15 -


新幹線

新幹線開業当時からの車両(0系)の営業運転が終了した。新幹線といえば思い浮かべるのは「あの形」であるが、これも時代の流れであろう。

「夢の超特急」と呼ばれた新幹線を初めて見たのは名神高速道路を走る修学旅行の観光バスの中からだった。その速さには大いに驚いたものである。新幹線が名神高速と並行して走るわずかな区間に、バスから走行する電車が見えるように時間を調整して予定に組み込んであった。バスガイドが時間をひどく気にしていたが運良く出くわすことができたのもなつかしい。

東京オリンピックに間に合うように作られ、戦後の高度経済成長の象徴的存在でもあった。これでまた「昭和」がひとつ消えていったようである。


新幹線が名神高速と並行して走る区間(Mapion地図)
- 2008/12/14 -


時効

いろいろと事情があって解決されていない事件も多い。そのため、「殺人事件:時効迎えた遺族 制度の見直し訴え」(毎日新聞2008/12/13)という主張が出てくる。被害者側の心情として「見直し」とは時効を廃止せよということのようである。これが簡単に実現するとは思われないが、たとえ時効がなくなったとしても、実際問題として、多数の事件が生起する中で、警察などの捜査機関が50年や100年も前の未解決事件を「まとも」に調べるとは思われない。警察の予算面と人的資源の有効活用という点からみても、未解決事件に専従の捜査員を配置しておくことも不可能であろう。結局、形だけの「時効なし」を得たところで今と大差がない。むしろ、時効を認めて、その期間内はしっかり捜査機関の「尻」をたたいて解決に精励させる権利を認める方に運動のウエイトを置いた方が現実的な感じがする。

また、「発生した年が1年違うだけで、なぜ時効に10年もの差がつくのか1)」という素朴な疑問もあるが、これは20歳の者には選挙権という重要な権利が与えられるのに、1年違うだけの19歳にはなぜないのかというのと同じような議論になってくる。 適当なところで「区切った」以上、その前後で差異が生じても仕方がない。そういう前提がなければ、そもそもどこかで線を引いて区切ること自体が不可能になってしまうだろう。いずれにしても、この問題はなかなか面倒で、被害者側の心情だけで押し切れるようなものではないようである。

1) 刑事訴訟法の改正で2005年以降に発生した殺人事件の時効は25年になったが、2004年以前の殺人事件の時効は15年である。
- 2008/12/13 -


激変

年末恒例の今年の漢字は「変」であるという。いろいろ変化があったためか、それとも変な事件が多かったためか、それはわからない。しかし、1年前の今頃と比べるとあらゆる部面で急変していることは確かだろう。自動車王国アメリカを代表する企業が倒産の危機にある。まさに激変である。今年の漢字ベスト10には、「金」、「落」、「株」などがあるところをみると、多くの人がどのあたりに関心を持っていたということも想像できるようである。折りしも、今日は円高で88.4円だったという。1995年には過去最高値の1ドル79.75円というのがある。よくも悪くもアメリカの影響をストレートに受けるのが日本である。このペースではいずれこれを抜くのも時間の問題かもしれない。ということは、ガソリンはまだ下がるかもしれない、、、庶民の楽しみはこんな程度である(笑)。
- 2008/12/12 -


インチキ評論家時代

最近のように社会経済情勢が厳しくなってきたことに対して、ある経済生活評論家が「週に1回程度しか乗らない車は売り払ってしまえ」と述べていた。ムダなものに金を使うなという素朴なアドバイスのつもりであろう。 こういう意見が通用するのは、公共交通サービスが発達し、生活資材などの調達が歩いて行ける範囲内でできるような都市部の住民に対してだけである。そして、こういう思慮の浅い意見が全国的にマスコミで垂れ流されていることはもっとゆゆしき問題であろう。

また、あるシンプルライフ評論家が、無駄な時間を省くためには、「できることだけ」をやることが必要であると述べている。その例として「おばあちゃんのお見舞い」「通販の銀行振り込み」「アイロンの修理」などをあげているのも笑ってしまう。そして、「できないこと」はやらないことだという。その例として、「オーガニック料理の勉強」「親戚一同で伊勢参り」「子犬を飼う」などがあげられている。こういうレベルのものを「評論家」と呼ぶに値するものかがそもそも問題であろう。
- 2008/12/10 -


コンビニ

ときたま意外なことを発見することがある。北海道は人口あたりのコンビニエンスストアが日本で最も多いという(朝日新聞2008/12/08)。要するに日本で最も「コンビニが普及している」地域であるといえる1)。これは地の利を生かした地場の「ドン」ともいえるセイコーマートの健闘に負うところが大きい。また、規模の大きいスーパーやショッピングモールなどは都市部を除いて人口の集積度からみて不効率である。広い土地に人口が散在し、車がないと行動できない北海道の特殊性からはコンビ二という形態がもっとも適しているのだろう(推測)。しかし、統計的なデータとは裏腹に、日本で最も「コンビニが普及している」というほどの感じは受けなかったのは、やはりその土地の広さがその印象を希薄化したからかもしれない。

ところで、コンビニの普及度は、このような人口基準ではかるよりも、1平方キロメートル内に何軒あるかという面積基準でいく方が実感に近い。それにもかかわらず、こちらの方が重視されないのは、コンビニという業種からみれば1店あたり何人ほどの顧客があるかという人口基準が圧倒的に重要だからであろう。ものの見方は何を基準にするかによって異なるということでもある。

1) 1店あたりの人口の上位5位は、北海道2176人、東京都2270人、宮城県2462人、茨城県2557人、山梨県2591人である。
- 2008/12/09 -



朝日新聞(2009/03/02)によると、チェーン展開する小売店は一定地域内に集中的に店舗を置き、効率化と認知度を高めてシェアを拡大するドミナント戦略という手法をとる。しかし、人口4万人弱で札幌市からトラックで5時間以上かかる稚内市への進出は難しく、市内のコンビニエンスストアは道内資本のセイコーマートだけ。


汚点

毎年八月十五日は終戦の日としてマスコミなどでは盛大に報道される。これに反して、「帝国陸海軍は今八日未明西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり」の報道で始まった太平洋戦争の開戦の日についてはほとんどニュースにも取り上げられない。当時の新聞は、報道管制下に置かれていたため無理はないともいえるが、当然ながら戦争讃歌の記事ばかりで埋められている。また、開戦時から「御稜威のもと、盡(じん)忠報国の鉄の信念をもつて戦うとき、天佑は常に皇国を守るのである」というような論調1)によって、精神面をことさらに強調して国民精神を誤まった方向に教化することが行われていたようである。こういう事態に思いをいたせば、今日を「マスコミ反省の日」という記念日にして、報道機関の過去の汚点を思い起こす日にでもするべきであろう2)。しかし、今日の新聞にはそういうことのひとかけらも出ていなかったようである(笑)。

1) 昭和16年12月9日の朝日新聞の社説の一節。
2) 戦争中は毎年十二月八日は開戦記念日として大本営が国威高揚のキャンペーンをしていた。
- 2008/12/08 -


ことば

正宗白鳥「根無し草」に移動
- 2008/12/07 -


環境

フィヒテ「人間の使命」に移動
- 2008/12/05 -


円高

それにしても急激な円高(92.79円)である。ほんの少し前まではだれも予想しなかったような範囲になっている。欧米がダメなら消去法的に日本に「お鉢」が回ってきただけのようである。外国旅行が安くなると宣伝されても、おいそれとそれに乗れる雰囲気でもない。せいぜい身近なところで円高の「効果」を実感できるものを探すのがいいのかもしれない。
- 2008/12/04 -


大麻汚染

平野龍一「刑法 総論Ⅰ」に移動
- 2008/12/03 -


年末恒例

あれよあれよという間にもう12月である。光陰矢のごとしとはよくいったものである。そのせいでもないが連日ベートーベンを聞いている(笑)。いつからか年末恒例の曲になってしまったようである。クラシックは何度聞いても「飽き」がこない。カール・ベームとウィーン・フィルのコンビの「第九」は実にゆったりとしている。録音技術の進歩のおかげで、ベートーベンの「皇帝」と「第九」などの豪華長大演奏(2曲で約2時間)が連続して楽しめるようになったのもうれしい。少し前までのカセットテープの時代にはもう戻れない。パソコンの世界で「もうフロッピーには戻れない」というのと同じ現象である(笑)。進歩して便利になるのはなかなかいいものである。
- 2008/12/02 -